高知県安芸市で土佐備長炭と薪の製造と販売をしている土佐備長炭一の近藤寿幸です。以前、航空便搭載について書いたので、その続編を書きたいと思います。嬉しいことに、若きスタッフが記事を積極的に書いてくれたので、その内容を丸々載せます。ご一読いただけると幸いです。
前回の記事はこちら。
知っていますか?土佐備長炭の「海外進出」について
2/1(火)今日は高知県木材産業振興課特用林産担当の方達がウチの窯に来られて、土佐備長炭の航空機搭載について議論しましたので、内容を覚え書きしておきます。
また、今回筆を執らせていただく土佐備長炭一従業員徳弘の、個人的かつ左翼的な意見が含まれますので予めご了承ください🙇♂️
県の職員達がウチの窯に来られるまでの経緯と専門企画員の方が話された世間話は省きまして、まず議論の内容として、「土佐備長炭の製炭業者達の統率がとれていない点」を指摘されました。むしろ今日の議論の内容を整理すると、この一点に集約されていたような気がします。
順を追って話しましょう。航空機搭載が可能な備長炭こと紀州備長炭ですが、和歌山県木炭協会があり、そこには5〜6名の製炭技術の伝道師がいらっしゃるそうです。その方達の「お墨付き」がもらえた炭(窯元)だけに紀州備長炭証と書かれたシールが発行され、航空機への搭載が可能になるそうです。航空機への搭載を考える和歌山県の窯元たちは伝道師に認めてもらうために日々製炭技術を向上させていくのですが、それに代わる組織が高知県にはありません。一応、高知県木炭振興会はありますが、高知県の窯元たちの大多数は所属していませんし、会長も炭問屋の社長で製炭技術に精通している方ではありません。そのため、専門企画員の見解≒県の見解では、土佐備長炭は全体として商品の品質が保証できる状態ではない、ひいては航空会社を説得できない。なので今は県はバックアップしないというものでした。
ここからは、個人的に思うところを書いていきます。まず土佐備長炭の窯元たちがまとまらない理由は単純に「大変なのに儲からないから」だと思います。悪い例えですが、向かう先にニンジンがあれば馬たちはその方向に揃って走り出します。ニンジンがどこにも見当たらなければてんでバラバラに散っていきます。今日課長はピンと来てないようでしたが「日本人が日本人相手に日本で商売をする」ことは沢山の業種において限界を迎えているような気がします。それはもちろん土佐備長炭の業界においても例外ではありません。理由は海外に比べて日本は「安い国」だからです。土佐備長炭の窯元さんたちは今どこかに、「ニンジン」が見えているのでしょうか。僕と近藤さんは遠く海の向こうにニンジンの山を見ています。
人それぞれ考え方が違うことは理解しています。無理に歩幅を揃える必要はありません。僕たち土佐備長炭の炭焼きは同じ電車に乗り合わせた人たちがそれぞれの目的地で降りていく。言うなればそれくらいの関係です。ただ、この一時だけは力を合わせて海の向こうを目指しませんか?
長々と語ってしまいましたが、以上で今日の記事を終わります。ご拝読ありがとうございました😊
追記:課長のお話しでは、紀州備長炭の海外輸出は燃料用でなく工芸品として行っているとのことでしたが、僕たちは燃料用メインと思っていました。認識に齟齬があったらいけないので、知り合いの貿易会社の方に確認して、後日追記します🙇♂️